坂の上の雲読了

baja2006-05-29

やっと「坂の上の雲」読了。長かったー、けど面白かったー。
日本人ってすごいと思った。明治維新から40年足らずで、国軍、というものが何もないところから列強の一角であるロシアと戦うところまで持って行って、かなりの幸運に恵まれていたとはいえ物量では勝てるはずがないのに勝ってしまったのだから。

ロシアが負けた理由はひとえに帝政ロシアが内政的に崩壊を始めていたことという視点で書かれている。いわく

  1. 歴然とした身分の違いがあり、貧困層出身の兵士の士気が高くない。
  2. 実力よりも(独裁政治を行っている)皇帝に対する人気で司令官が選ばれてしまったこと
  3. 選ばれた司令官が戦場でも政治的な権力争い、保身を中心に考えた指揮を行ってしまったこと
  4. 現場(戦場)を理解しない本国の判断に従わなければいけなかったこと

日本が勝った理由

  1. 世襲中心だった江戸時代から実力主義に一気に振れた時期で優秀な人材を軍に得ることができたこと(その割に藩閥人事が行われ、旅順では悲劇を生んだとのことだが)。司馬遼太郎があとがきで書いていたが、当時日本には絹と米しか産業がなかった。優秀な人材の行き先として軍というのは魅力的だったのではないだろうか。しかし、米と絹かー。鉱工業が立ち上がったのも明治は言って体からよく追いついた、というか追いつけると思ったな。鉱工業自体がまだ若かったからできたともいえるのかもしれない。鎖国があと20年続いたらまったく違う様相になっていたことでしょう。
  2. 積極的に(いい方によっては無節操に)いろいろな国のいいところ(軍の運営方法、新しい技術を使用した戦艦の導入など)を吸収していったこと。日本みたいな国がほかになかったから無節操になれたのかもしれないとも思う。
  3. (各藩ではなく)日本の国民であるという感覚がまだ新鮮に受け止められ、純粋な「愛国心」を持ちやすい時代であった。「日本の国、民族を守ろう」、という考え方が一般的に受け入れられていた。
  4. 初等教育についてはむしろ日本は進んでおり、兵士の質は高かった。
  5. 運がよかった.....としかいいようがないところはある。ここで勘違いして第二次世界大戦になだれこんでいたい目にあったといういわれ方をされる場合も多く見受けられるがまぁそう勘違いしても不思議はないかなという気もする。