戦争の形

当時は電子機器としては無線機がようやく使われ始めたところでそれでも盗聴を恐れ部隊内の連絡は旗や灯火で行っていたようだ。有名な東郷平八郎バルチック艦隊の撃退も、ヨーロッパから回航されてきた艦隊を待ち伏せすることになったのだが、レーダーがあるわけでもなく取り逃がすのではないかと相当葛藤があったようだ。陸戦も相手がどこにいるのかはよくわからない状態で戦わざるを得なく(飛行機を偵察に使うのはもう少し後の話。この小説の話の中では気球を使うエピソードが出てきた)、実際に行って見なければわからない世界。また自軍がどこで何をやっているかもよくわからない状態(陸軍は優先電話は使っていたらしい。ちょっと意外)。
今は、レーダー、暗視装置、GPSなどで、かなり相手の様子がつかめるのだと思う。始まる前から勝敗は決してしまっていて、ドラマが起こる余地はあまり無い様に思う。ミノフスキー粒子(というアイデア)を開発したくなった人の気持ちはよくわかる。というか、ドラマを作るためにそういう考え方を作る、という発想がすばらしいと思う。