村上春樹

おぉ、言うこと言ったみたい。海外でどのように受け取られたのかな。
村上春樹さんの講演 イスラエルに批判的報道なし
ここを見ると、確かに批判的ではないような。
Murakami, in trademark obscurity, explains why he accepted Jerusalem award
難しい英語だな。勝手に訳す。

イスラエルは卵ではない。
難しいだろうか? でもこれが日本のベストセラー作家である村上春樹氏から聞くことができる唯一の説明かもしれない。そして、本当の意味での彼のスタイルを考えると、実際にはもっと曖昧な説明しか得られないかもしれない。
村上氏は日曜夜に、時差ボケと政治的な反対とカメラマンの行列に打ち勝ち、エルサルムインターナショナルカンファレンスセンターで行われている第24回エルサレム国際ブックフェアの開会式で、「個人の自由に関するエルサレム賞」を受賞した。
かれはShimon Pere大統領と、Nir Barkatエルサレム市長の横に並んで賞を静かに受け取った。そして、演壇の上に一人残りカメラのフラッシュが落ち着いたところで、作家は本来の仕事に戻った。
「結局私はエルサレムに来ました。作家、つまり嘘を操るものととして」
「小説家だけが嘘をつく訳ではありません-政治家だって(すいません、大統領)外交官だって嘘をつきます。でも小説家とそれ以外の人々には違いがあります。私たち小説家は嘘をつくことによって告発されることはありません。逆に私たちは嘘をつくことによって賞賛されます。嘘が立派であればあるほど評価されるのです」
「私たちの嘘と彼らの嘘の違いは、私たちの嘘は真実を明らかにするのに役立つ、ということです。真実というものを全体として理解することは難しいです。だから、私たちはそれを架空の領域に変換するのです。しかし、まず最初に私たちは私たち自身のどこに真実があるのかを明らかにしなければいけません」
「今日、私は真実を語りたいと思います。私が嘘をつかない日は年に数日しかありません。今日はそのうちの貴重な一日です」

村上氏の小説は超現実的で、想像力に富んでいて、しばしば突拍子がないと感じられる。彼の本を読むということはピカソの絵を鑑賞するようなものだ。現実世界からある程度離脱することが要求され、そうすることによって初めて、村上ワールドの物事、出来事が腑に落ちるようになる。

しかし彼の本質はは彼の周りの論理的な混沌と対照的であり、とても人間的で自覚的で、慎ましい、自制的な個人であり、内に秘めた葛藤は我々のものと同じである。

村上氏を受賞者に選んだ選考委員は、村上氏の、普遍的なヒューマニズム、人間に対する愛、容易には答えを出すことができない問題に対して挑む戦いといったテーマを評価し、短時間で満場一致で決定を下した。しかし、選考委員はほとんど議論を必要としなかったにもかかわらず、村上氏は賞を受けるかどうかについて悩んでいた。

「賞を授けると聞いたときに、ガザでの戦闘を理由にいかない方がいいのではないか、と警告をされた。私は自分の胸に聞いてみた。はたして、イスラエルを訪れることは正しいことなのだろうか。それは一方を支持することにはなりはしないだろうか」と彼は言った。

「私は少し考えてみた。そして来る事を決めた。多くの小説家と同様、私は誰かに言われた事のまさに反対のことをやる事が好きなのだ。小説家は自分の目で見た事、手で触れた事以外を信じることができない。だから、私は見る事を選んだ。私は口を閉ざす事よりも、ここに来て話す事を選んだ」

「だから、私はここに来てこうして話している」

そしてここで、かれは彼自身の性格からいったん離れ、明快な、解説の必要がないことばを語る脇役を演じ始めた(彼の小説のなかで、明確な叡智は主役の周りにいる人からもたらされる傾向がある)。曖昧さのない、以下のような言葉だ。

「もし頑丈で高い壁とそれによって壊される卵があったとしたら、壁がいかに正しく、卵がいかに間違っていたとしても、私は卵の側につく」

「なぜか? 私たち一人一人はは卵だからだ。それぞれの魂を内に秘めた壊れやすい卵だからだ。高い壁は世の中のシステムだ。それは私たちが個人としては通常するべきでないような事をやる事を私たちに強いる」

「私はただ一つの目的のために小説を書いている」と彼は続けた。彼の声は控えめで抑制された声で続けた。「それは各個人がもつ神性を描き出すためだ。独自性を描くためだ.
システムが我々を争わせる事をさけるためだ。だから、私は命の、愛の、ストーリーを書くのだ。人々を笑わせたり、泣かせたりするために」

「私たち人類はみんな、壊れやすい卵だ」と彼は主張した。「我々は壁の前では無力だ。壁はあまりにも高く、暗く、冷たい。壁と戦うためには、我々は暖かさや、強さのために我々の力を合わせなければいけない。私たちはシステムが我々をコントロールすることを許してはいけない、我々を作る事を許してはいけない。私たちがシステムを作ったのだ」

村上氏はメッセージを伝えたあと、読者への感謝の言葉で締めくくった。これは賞を受けるという習慣がない彼にとっては特別な事だ。

「私の本を読んでくれたイスラエルの皆さんに感謝します。私たちが何か意味のある事を共有できればいいと思います。私が今ここにいる最大の理由はみなさんです」